たくさん 傷つけた  君に何一つしてあげられなかった

 

幸せだった 貴方の傍にいられて

 

どうか 俺を連れていって

どうか 私を忘れて

 

     憂 伍

 

「薫殿!!」

 

もの凄い速さで病院に駆け込んだ

 

「緋村!!」

 

「薫殿は?」

「今 先生が診てる」

 

「緋村 あんたさ その・・巴さんの墓参りに  行ってたの?」

「・・ああ 蒼紫から・・?」

 

「ううん  薫さんから・・」

「!!?」

 

薫は気付いていたのか?自分の嘘を

 

「・・薫さんね あんたが出かけた後に 言ってたんだ きっと 巴さんの

お墓参りだろう って」

 

「・・・・・」

「でね、どうして正直に言ってくれなかったんだろう・・

自分は緋村にとって そんなに頼りないのかな ってさ」

 

「!?」

愕然とした 薫を傷つけまいとした行動が 結果的に一番薫を傷つけたのだ

 

「・・して 薫殿はどんな?」

 

「・・・いきなり 吐血して そのまま意識が・・。」

「血・・!?」

 

やはり何か重い病気だったのか?

全身震えが止まらない

 

カラッ

 

「先生!! 薫殿の様子は?」

「ご家族の方ですか?」

 

「  はい。 」

 

「労咳ですな。しかも、かなり進んでいる 今まで相当な苦しみがあったでしょうに」

 

「  労咳・・!?」

 

何かが崩れる音がした この時代 労咳の先には 絶対的な死が待っている

 

医師が説明するが、まるで頭に入ってこない

 

 

カラッ

 

「  薫殿? 」

 

「  剣・・心 」

 

灯篭の薄暗い光でも 薫の顔色が悪いのは はっきり分かる

 

 

「・・へへ・・ばれちゃった  」

 

「   何故・・黙っていたのでござるか・・?」

 

「――― 雪  の季節だったから 剣心に 負担をかけたくなかったんだ  」

「!!」

 

彼女の優しさ 自分の情けなさに 胸が押しつぶされそうになった

自分はこんな 優しい彼女を 傷つけ 無理を強い 偽った

制御できない感情は 人間だけが持つ 感情表現の 雫となり 流れ落ちていった

 

「・・・薫殿  拙者 薫殿を偽った・・」

 

「  いいのよ 巴さんとのことは 私なんかが踏み込んでは いけないことだって 分かってるから 」

 

「!! ちがうんだ 拙者は・・」

剣心の言葉を遮るように

 

「 私は もうすぐ逝くわ  その前に 剣心にひとつ お願いがあるの 」 

「お 願い ・・・?」

 

「 私が死んだら 私の事は忘れて欲しいの 」

 

「・・!?・・薫殿 何を!!」

 

「  京都での闘いのとき 私 剣心を追って行ったでしょう? それからも 剣心はずっと傍にいてくれた 私が剣心の自由を奪い、縛り付けていたのよね  」

「薫殿!!それは 違う!」

 

「剣心 前に言ったよね 自分はるろうにだから いつまた流れるか分からないって いままで縛り付けていて ごめんなさい  貴方を 解放するわ 」

 

何も言えなかった 伝えたい想いはたくさんあるのに 言葉にならないんだ

ねえ どうやったら傷ついた君の心を癒せるのだろう 

   どうしたら 君に 償える・・?

           肆へ     陸へ

 

 

 


  ・・もはや暗すぎて 何も言えませんね

でも、このまま不幸にはしたくありません!!

和解させてあげたい  が・・どうしよう(悩)